読書感想 エデュケーション (タラ・ウェストーバー)
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本書はアメリカのアイダホ州の山で育った女の子のお話です。
両親が出生届をしっかりしていなかったため正確な生年月日は不明なのですが、おそらく私と近い年齢です。(1987年生まれ)
親が義務教育を受けさせず、成人前まで労働を強いられていて(何度も死にかける。)
親から陰謀論や民間療法、宗教を信じ込まされていたのですが大学へいき人生が変わるという話です。
信じられないエピソードがたくさんあるのですが、この本の内容を真実とすると
お父さんがかなり破天荒です。しかしなんだかんだで両親は社会的に大成功しているところもすさまじいと感じます。
「私達が故意でも偶然でもなく、無教養な教えを他人から与えられたことで私達の考えがかたちづくられたことを理解したのだ。」作者の言葉です。
数々のすさまじいエピソードから「子供へ教育をうけさせる義務」を親へ課したほうがいい社会になるだろうということを実感します。
まず大前提として
学校に行けないことと行かないことは、問題点が全く異なります。なんらかの事情で行けない子に対しては、別のフォローが必要です。
私が気になっているのは、義務教育不要論です。最近見かけるので。
これを読んだのをきっかけに義務教育のことを考えてみました。
子供は子供の世界があり、学ぶタイミングがあります。
小さい時から、考えの尺度が「お金」「自由」「商売」になると学習に触れない人間が増えて
社会の衰退や格差が広がることへつながるのではないかと思います。
また、大人は毎日生活を守るためのことを考え実行しなければいけませんが
それを子供の頃から大人の考えややり方でやらせる必要はありません。
たしかに世の中にはいろいろな人がいて、教育に頼らず成功している人がいるのは認めます。
しかし成功していると思っている人達自身はいいのかもしれないが、たまたま上手くいっただけの例でありそれを世の中に啓蒙するのは目に見えない被害者を生むので控えるべきです。
世の中には義務教育はクソだなと思っている人がいるのはわかります。
もちろん改善点はたくさんあるでしょう。しかし義務教育によって救われている人もたくさんいるのは間違いありません。救われているのに気づかないだけで。
社会が目指すべきは、数少ないサンプル数のベストではなく全体のベターです。
義務教育が無かったら、どの親に生まれるかで運命が決まってしまいます。(この著者のように)
そう考えると義務教育の大きな役割は社会格差を減らすことではないでしょうか。格差を減らすことには異論ないでしょう。
才能があれば学校へ行かないでもタレントやスポーツ選手として成功できる可能性はありますが、あなたはその自信がありますか?
社会全体として教育を受けたほうが、運の要素を小さくしてよりよい人生を実現できる可能性はあがります。
最近、お金のことを教えない義務教育はダメだとか
人の言うことを聞くロボットばかりを育てる義務教育はダメだという意見を耳にすることが多く
違和感を感じていて、ちょうどこの作品を読んで感じたこともあり考えをまとめてみました。
うちの子も義務教育が続きます。家庭と学校の両輪で教育をしていこうと思います。
ではまた!